Husqvarna(ハスクバーナ)の誕生と栄光の道のり
ハスクバーナは1689に産声を上げ、事業の多角化と数々の買収や分裂を繰り返しながら、世界中のモトクロスやエンデューロに代表される、スーパーモタードのレースシーンで数多くの栄光をつかんできたオフロード専門のオートバイメーカーです。2013年に25年前に分裂したフサベルと統合し、オフロード愛好者の注目を集めました。そんなハスクバーナの歴史を紹介します。
伝説の幕開け
1689年 ~誕生~
ハスクバーナの始まりは兵器工場。スウェーデン国王の命令により建設されました。
1872年 ~ミシン・薪ストーブ・ミンチ機・世界初タイプライター~
鋳鉄製のキッチン用品とミシンの製造に着手します。
1896年 ~2輪としてのキャリアスタート~
これからのキャリアのスタートともなる、自転車の製造をスタートさせました。
伝説が動き出す
1903年 ~初のモーターサイクルの誕生~
ハスクバーナにとって最初のモーターサイクル(原動付き自転車)が登場。以来、同社は製造を中断しない最古のオートバイメーカーとして110年以上君臨し続けます。
1933年 ~勝利に沸く表彰台~
1933~1934年のロードレースシーズン。この頃、ハスクバーナは表彰台最上段の常連になります。レースを80年以上続けてきたファミリーの伝統です。
1953年 ~モーターサイクルの広がり~
ベルギーで「モトクロス」と呼ばれた、新たなモーターサイクルスポーツが戦後のヨーロッパで大流行します。ハスクバーナの単気筒ロードバイクは、軽量かつカスタムが容易なこともあり、オフロード走行用として人気に火が点きます。この年以降、レースはヨーロッパ全土へと広がっていきます。
1955年 ~SILVERPILEN~
スウェーデン語で“銀の矢”を表す「SILVERPILEN」。オフロード走行を目的に造られた先駆的なこの製品は、敏しょう性に富み軽量。さらにテレスコピックフォークや油圧式ダンパー、フレームマウントエンジンは、革命的なアイデアとともに人々を驚かせました。
1959年 ~初めてのチャンピオン~
この年、Rolf Tibblinはハスクバーナの250ccを使い、ワールドモトクロスチャンピオンという初のタイトルを獲得。両者にとってのモトクロスレースにおける栄光のキャリアがスタートします。その後Rolf Tibblinは、「モトクロス・オブ・ネイションズ」で優勝したほか、「バハ1000」をはじめとする多くの世界タイトルをその手に収めます。
1960年 ~500ccクラスの制覇~
ハスクバーナ初となる500ccクラスの世界タイトルを、Bill Nilssonが勝ち取ります。Rolf Tibblinの250ccでの勝利から多くの経験を学んだハスクバーナは、Bill Nilssonの勝利のために最高のバイクを製造。その後、ビッグボアモトクロスにおける黄金の時代を築いていきます。
1963年 ~輝かしい時代の夜明け~
オフロードモーターサイクルがブームになった1960~1970年代。このときハスクバーナは、世界最大級のレースや選手権で勝利をつかみ続け、ワールドモトクロス界における圧倒的な地位を築きます。「モトクロスワールドタイトル」14回、「ヨーロッパエンデューロチャンピオン」24回、「ハバ1000」11回。この勝利によって、ハスクバーナはオフロードモーターサイクルレーシングブランドとして究極的な立ち位置を確立しました。
1970年 ~伝説を打ち立てる~
1970年代。ハスクバーナはアメリカとヨーロッパのモトクロスおよび、エンデューロタイトルを獲得し続け、ワールドクラスのオフロードで勝利の道を突き進みます。
1977年 ~ビジネス価値の上昇~
当時はニッチな立ち位置にあったモーターサイクルメーカーが1970年代後半、突如として投資対象として見られるようになりました。オフロードシーンを越えて広まり続けたハスクバーナは、1977年にスウェーデンの大手企業であるElectrolux社によって買収されます。
1983年 ~新たな道の開拓~
ハスクバーナはこの年、ニュースタイルの500cc・4ストロークモデルを発表。新たなベンチマークとして注目を集めます。4ストローク競技用モーターサイクルが新時代を迎え、軽量かつ取り扱いが容易な空冷オフローダーは、その先駆け的存在となりました。
1987年 ~Go to South~
ハスクバーナのモーターサイクル部門はこの年、イタリアのモーターサイクルメーカーであるCagivaに売却され、MV Agusta Motorの傘下となります。「Huskies(ハスキー)」の呼び名で有名なモーターサイクルは、以降ヴァレーゼにて生産されることになりました。
1988年 ~ハスクバーナの分裂~
1987年の売却時、ハスクバーナは1988年にイタリアへ移転する計画がありました。この際、ハスクバーナの中核である開発チームは、スウェーデン残留を決意。そしてこの年、ハスクバーナから独立した「Husaberg」が産声を上げました。
2007年 ~さらなる買収~
オフロードモーターサイクル部門の拡充を図るBMWによって、ハスクバーナはこの年に買収されます。これは、ハスクバーナが持つ歴史とオフロード界での類い希なる栄誉の数々がBMWの心をつかんだ結果といえるでしょう。
2013年 ~再開と統合~
ハスクバーナにとって、大きな事件が起こったのがこの年です。HusabergのオーナーであるPierer Industries AGが、ハスクバーナを買収しました。1988年の分裂以降、2つに分かれていたハスクバーナがついにこの年、本来の姿を取り戻します。最高の技術力とスウェーデンを思わせる配色は、栄光の集結を象徴。その後登場するエンデューロやモトクロスバイクは、最古のオフロードモーターサイクルスポーツのメーカーが、頂点へと帰還したことを知らしめました。伝説の足音が、再び聞こえはじめます。
2014年 ~成功に沸く新たな年~
新世代ハスクバーナにとって、2014年は大きな成功の年となります。ボディカラーがクラシカルなホワイト・ブルー・イエローは、バイクファンから熱烈な歓迎を受けます。販売台数・年間売上高でも、その勢いは強力に示されました。
2015年 ~再びストリートへ~
2015年は、ハスクバーナによって将来のビジョンが打ち出された年です。701 SUPERMOTOモデルの発表は、ハスクバーナが自身のルーツである単気筒ストリートモーターサイクルへ復帰することを意味しました。Folke Mannerstedtによる画期的で高性能なエンジンは、コンパクトな4ストロークエンジンデザインによって、1930年代に有名になった取り組みです。